研修会「若年女性がん患者に対する妊孕性温存療法」を開催しました。

5月27日(水)、今年第1回目となる「地域がん診療連携拠点病院としての医師・メディカルスタッフ対象研修会」を開催しました。今回は、「若年女性がん患者に対する妊孕性(にんようせい)温存療法 −がん・生殖医療の普及に向けて−」と題して、KKR札幌医療センター斗南病院 婦人科・生殖内分泌科科長の逸見博文先生にご講演いただきました。
まず初めに、当院のがん化学療法看護認定看護師である岩村主任より、妊孕性について説明がありました。

「妊孕性(にんようせい)」とは、妊娠する力のことを意味します。岩村主任は、現在のがん医療では、治療により将来の妊娠の可能性を妨げないよう、生殖機能を温存する取り組みが始まっていると説明し、当院で経験した女性患者さんの例を紹介していました。

その後、逸見先生より、女性の生殖機能についての解説、妊孕性温存における問題、最新の妊孕性温存治療の紹介、そしてがん生殖医療の今後の展望について、ご講演いただきました。

講演の中では、治療による妊孕性低下のリスクをはじめ、卵子凍結保存等、主な治療方法や臨床データの紹介がありました。体外受精の流れなども、動画を用いた詳しい解説がありました。
逸見先生は、妊孕性温存治療はがん治療の妨げとなってはならず、温存治療を行う時期も重要であるため、正しい情報を適切なタイミングで患者さんに伝えることが大切だと話していました。また、患者さんが希望を持ってがんと戦うために、がん主治医と生殖医療専門医の連携が必要であるとも話していました。

当日は、院外からの参加も含め、70名以上が聴講していました。

司会を担当した腫瘍内科の奥田部長は、最後に、「がん・生殖医療の知識を皆がしっかりと学び、普及させていくことを、今後の我々の使命であると捉え、診療を行っていきたい」と締めくくりました。
がん治療を受ける女性患者さんにとって、将来の妊娠については多くの不安を持たれることと思います。この研修会は、各医療スタッフが、患者さんにより適切な配慮や情報提供を行うための、貴重な学びの機会となりました。

逸見先生、ご講演いただき有難うございました!